静電場の可視化

液体中の粉末を観察することで、点電荷の周りの電気力線の形状を理解する。

 

【キーワード】


電荷、電気力線、電場

 

【目的】


液体中で帯電したネジの周りの粉末を観察することで、同符号同士、および異符号同士の2つの点電荷の周りの電気力線の形状を理解する。

 

【用意するもの】


材料 個数 備考
ネジ

2個

今回は、直径6mm程度の皿頭のネジを使用した。画びょうでも可。

針状の微粉末

適量

今回は、ジオラマの土用素材を使用した。
ポリスチレン容器 1個 絶縁体の容器であれば可。
ビー玉 1個 静電気を起こすために使用。ライターから取り出す。
クリップ 1個 油や粉末を一様にならすために使用。

 

【実験時間】


5分

 

【実験準備】


事前実験をして、選択した針状の微粉末が電気力線を明快に表すのに適当であることを確かめる。また、使用する粉末の適切な分量を調べておく。

 

【実験手順】


  1. ポリスチレン容器の上に、サラダ油を均一になるように敷く。
  2. サラダ油に針状の粉末を入れ、均一になるように先を伸ばしたクリップを使ってならす。
  3. 2つのネジを、適当な距離だけ離して、サラダ油の中に置く。
  4. 圧電素子を用いて、2つのネジを帯電させる:(結果)図1のように同符号の電荷が作る電気力線の形状が現れる。
  5. 一方のネジに指をあてながら、もう一方のネジを圧電素子で帯電させる:(結果)図2のように異符号の電荷が作る電気力線の形状が現れる。

 

【教員による説明】


  • 物理シミュレータ(例えば、[2]など)を用いて、同符号同士、および異符号同士の2つの点電荷が作る電気力線を描画して、実験結果と比較する(図3、図4)。
  • 電気力線の方向に微粉末が並ぶ理由は次の通り:絶縁体の微粉末は誘電分極によって双極子となる。双極子となった微粉末は電場によって回転し、互いの異極同士がつながる。その結果、微粉末は電気力線の方向に並ぶ。
  • 大きさをもつ双極子の性質上、一つの微粉末が2つ以上の微粉末につながることがある。その場合、実際は電気力線が枝分かれしないことを説明し、学生に誤解を与えないようにする。

図1.同符号に帯電させたネジの周りの粉末

図2.異符号に帯電させたネジの周りの粉末

図3.同符号の点電荷の周りの電気力線

図4.異符号の点電荷の周りの電気力線

 

【注意点・備考】


帯電した電荷の絶対値が同程度にならない場合は、シミュレータでもそれに合わせて描画する。

 

【記事作成者】


安田 淳一郎(名城大学理工学部)

最終更新日時: 2014年 05月 9日(Friday) 08:05