エネルギーの概念の理解と講義実験

学生や一般社会人が物理を初めて習うとき、もっとも困惑させられるのが「エネルギー」の概念でしょう。これは日常用語のエネルギーと物理用語のエネルギーが異なって感じるということだけでなく、目に見える運動エネルギーと目に見えないポテンシャルエネルギーの関係が、数式や机上の理屈ではわかるものの、現実世界で対応づけて体感的に理解する機会がなかなかもてないことにもよると思われます。たとえばガウス加速器の演示実験はポテンシャルエネルギーから運動エネルギーへの転換の模式化ですが、文字通りポテンシャルという「静」と、それが運動に転化した際の「動」のギャップの大きさに学生だけでなく教員も驚くことだろうと思います。

ポテンシャルエネルギーのように、日常的には見たり感じたりしがたいものでも、講義実験で印象的にデモンストレーションしてやることにより、単なる数字や数式であった概念が生き生きとした経験に変わって、学生の中でうまく消化できれば、それこそが物理講義の醍醐味だと言えるでしょう。(千代)

最終更新日時: 2014年 05月 12日(Monday) 06:15