銅板パターンを用いた渦電流の理解

様々なパターンの刻まれた銅板ヤジロベーに、磁石を近づけて上下に揺らす。

 

【キーワード】


電磁誘導、渦電流*

 

【目的】


電磁誘導で生じる渦電流の効果を理解させる。

 

【用意するもの】


材料 個数 備考
銅板ヤジロベー 1つ 図1〜図4参照。銅版の片方の腕には、各種のパターンが刻まれている。
ヤジロベーの支柱 1つ 図1参照。
ネオジム磁石 4つ 円盤型のもの。

 

【実験時間】


15分

 

【実験手順】


  1. 図2のパターンの銅板ヤジロベーを支柱の上に載せる。パターンが刻まれていない方の銅板に磁石を近づけて、上下に振動させる。(結果):磁石に合わせて、銅板は揺れる。
  2. 丸いパターンが刻まれている方の銅板に磁石を近づけて、上下に振動させる。(結果):銅板はあまり揺れない。
  3. 図3のパターンの銅板ヤジロベーを支柱の上に載せ、パターンが刻まれている方の銅板に磁石を近づけて、上下に振動させる。(結果):銅板はあまり揺れない。
  4. 図4のパターンの銅板ヤジロベーを支柱の上に載せ、パターンが刻まれている方の銅板に磁石を近づけて、上下に振動させる。(結果):銅板はパターンが刻まれていない平板と同じように揺れる。


図1.銅板のヤジロベーとヤジロベーの支柱。


図2.丸いパターンを刻んだ銅板。円は途中で切れているため、電流は丸く一周できない。


図3.縦に切られた銅板。電流は丸く一周できない。


図4.ハンダづけした丸いパターンの銅板。途中の切れ目をハンダでつなげてあるため、電流は丸く一周できる。

 

【教員による説明】


電磁誘導による渦電流が流れやすいほど、エネルギーの損失が大きく、ブレーキ効果が大きいことを理解させる。図2と図3のパターンでは、渦電流が一周できないため、電流が小さいので揺れは小さい。しかし、図2とよく似た図4では、平板と同様に渦電流が一周できるため、平板と同様の大きな摩擦力が生じ、大きく揺れる。

 

【注意点・備考】


  • ヤジロベーと支柱は物理実験準備室で借りることができる。
  •  わざわざ「丸いパターン」を切ったのは、平板にも丸く渦電流が流れていることを強調するためである。コイルを使った電磁誘導の実験では、電流が丸く流れることは自明であるが、平板ではイメージしにくい。

 

【動画】


 

 

【記事作成者】


三浦 裕一(名古屋大学理学研究科)

最終更新日時: 2014年 05月 9日(Friday) 10:06