マグヌス効果

回転する紙筒にドライヤーで風を当て、マグヌス効果による揚力を観測する。

 

【キーワード】


マグヌス効果、クッタ・ジューコフスキーの定理

 

【目的】


一様流中におかれた回転する円柱に働く揚力を理解させる。

 

【用意するもの】


材料 個数 備考
紙筒 1つ モーターに取り付けるための軸をつけた紙筒。トイレットペーパーやキッチンタオルの芯が利用できる。筒の直径・高さともにドライヤーの風の幅よりも十分小さいもの。
DCモータ 1つ 定格1.5V
30cm金尺 1本 端にDCモータ、中央に支点となるストローを貼付ける。
金属棒 1本 スタンドに固定し、金尺につけたストローを通して支点とする。
DC電源 1つ 回転数の調節を可能にするため、電圧を変えられる物が好ましい。
ドライヤー 1つ 風量調節が可能で、出来るだけ開口が大きく風のあたる範囲が広い物が好ましい。
吹き流し 1本 ティッシュを帯状に切って端を棒に貼付けたもの。風の当たっている範囲が分かるようにティッシュを複数つけると良い。

【実験時間】


5分

【実験準備】


紙筒がドライヤーの風の当たる範囲の中心になるように並べる。ドライヤーの風が紙筒の可動範囲全体に当たるようにするため、ドライヤーと紙筒の距離は離した方がよい。ドライヤーはスタンドで固定した方が安定した実験が出来るが、手で持って紙筒を追いかけてもよい。吹き流しは紙筒の上下に風が流れていることが確認できるように配置する。

【実験手順】


  1. まず、紙筒を指ではじき、振り子運動をすることを見せる。
  2. 風を当てずに紙筒を回転させた状態で指ではじき、1. と同様に運動することを見せる。
  3. 紙筒を回転させずに風を当てた状態で指ではじき、1. と同様に運動することを見せる(風は厳密には一様流ではなく、上下に広がる拡散流であるが、それに起因する力は紙筒を動かすほどの影響はないことが重要)。
  4. 風を当てた状態で紙筒を回して紙筒の運動をみせる。
  5. 風を止めた状態で、回転する紙筒に指を近づけさせ、紙筒の周りに循環する流れが出来ていることを確認させる。
  6. 回転の方向、回転速度、風速を変えて実験を行い、揚力の向きが流れに対して垂直であり、大きさは循環と風速の積に比例することを定性的に理解させる。

【教員による説明】


紙筒の表面付近には紙筒と同じ方向に回転する流れが生じている。これと一様流の重ね合わせは円柱の上下で速度の異なる非対称な流れを作り、ベルヌーイの定理から循環(回転方向の速度成分を紙筒の周方向に積分したもの)と一様流の速度の積に比例する揚力を導きだすことが出来る(この揚力は円柱に限らず任意の二次元的な物体について成り立つことが証明されており、クッタ・ジューコフスキーの定理という)。

【注意点・備考】


このマグヌス効果は野球の変化球の原理として良く知られているが、これを応用した飛行機(ただし模型)や船(フレットナー船・ローター船)も存在する。このあたりも学生の興味を引くかもしれない。

【動画】


回転方向と揚力の関係 

回転速度と揚力の関係 

風速と揚力の関係 

 

【参考文献】


[1]      今井功,「流体力学(前編)」, 裳華房

[2]      日本機会学会編. 石綿良三, 根本光正著. 「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス

【記事作成者】


古澤 彰浩(名古屋大学教養教育院)

Last modified: Wednesday, 18 February 2015, 5:31 PM