曲げてみて理解する金属の原子構造
銅棒を手で何度か曲げると、銅棒が曲がらなくなるのはなぜか?
【キーワード】
金属*、格子欠陥*、転移*、合金*
【目的】
金属の性質(転移、格子欠陥)を理解する。
【用意するもの】
材料 | 個数 | 備考 |
銅棒 | 1本 | 工作室、ホームセンターで入手可能。 |
赤、緑、青のセロハン | 各1枚 | ホームセンターで入手可能。 |
軍手 | 1個 | |
熱遮断用の板 | 1個 | |
ペンチ(火箸) | 1本 |
【実験時間】
5分
【実験手順】
銅棒を手で何度か曲げてみると、銅棒はそのうち曲がらなくなる。しかし、バーナーであぶってやるとまたもとに戻る。
【教員による説明】
金属は正イオンが結晶格子内の特定位置に配置した構造をとっているというのは理想像であり、現実には原子配列の乱れや格子欠陥(転移、延性)などがある。その性質は物質の多様性を導いている。金属は柔らかいので、簡単に曲げることができる。しかし何度か曲げることにより内部構造がずれて堅くなる。これより、格子欠損や不純物など、物質の内部構造についての考察を行なう。更に鍛冶や日本刀の構造など複雑な例に興味をもってもらえばよいと思う。
【注意点・備考】
銅棒をバーナーであぶった後やけどをしないように充分冷ます必要がある。
【記事作成者】
三野 広幸(名古屋大学大学院理学研究科)
最終更新日時: 2014年 05月 14日(Wednesday) 06:25