遺伝情報から立体的な蛋白質ができる様子

複雑な生命活動と物理法則の関係は、なかなか分かりにくい。しかし、以下に示すように密接な関係がある。そもそも、1次元のDNAの情報から3次元の蛋白質ができるのは不思議である。DNAの情報に従って作られた紐状のアミノ酸配列のままでは、機能が無い。そこで紐が丸まって立体構造ができるが、その過程は「物理法則」にまかされているそうだ。全体のエネルギーを低下させるように丸まると、最終的な立体構造ができる。細胞の中で日常的に行われている現象だが、再現する計算はたいへんとのことだ。最終構造に到達できずに途中で止まってしまい、再現できないこともあるそうで、まさに現在進行形の研究テーマとのことである。(三浦)


図1.蛋白質 MUCAREM2 において天然類似の立体構造が形成される過程で出現した構造のスナップショット(大学院理学研究科 岡本祐幸教授 提供) (T. Yoda, Y. Sugita & Y. Okamoto, Biophys. J. 99, 1637, 2010より)左からエネルギーが 約-29000, -31000, -32500 kCal/molである。最終的な構造に向けて、次第にエネルギーが低下していく様子が分かる。最終的に図2のようになる。



図2.計算から求められた蛋白質の構造と自然の構造の比較緑+青色;X線回折で決められた自然の構造。黄色;シミュレーションの結果、自然構造とほぼ一致している。

最終更新日時: 2014年 05月 12日(Monday) 06:12