地球潮汐現象―地面の干満とは?

目の前で毎日起きているのに、実際に研究している人しか知らない現象がある。地面の「干満」、すなわち「地球潮汐」現象である。海の干満は、皆知っているのにどうした訳だろう。筆者自身も「地球潮汐」を測定している人から聞くまでは、全く考えてもみなかった。言われてみれば当たり前の現象である。

なぜ、認識されていないか、その原因を考えることは意味がある。「見れども、見えず」で力学法則も長い間、認識されなかった歴史があるからだ。第一に、変位の基準が無いこと。地面の上にいる我々もいっしょに上下するので、気がつかない。海の場合は、海岸に満潮時の潮位を示す模様が見える。次に、変位が小さいこと。海の干満は数メートルもあるが、地形の影響で地域差が大きい。フランスでは干満が8mもあり、河口をせき止めて発電している程である。

地面の上下はどれくらいだろう?東京天文台の研究者に伺ったところ、石垣島のデータをいただいた。上下の変位は約44cmだった。地球は堅いので、やはり変位は小さかった。値の求め方も教えてもらったが、大変複雑だった。実際に測れるのは地殻の歪であり、それから地球全体の変形を計算して求める。

GPSを使えば簡単に測定できるのでは?と考えるかもしれない。これは研究されているそうだが、簡単ではないそうだ。まず、GPS衛星の軌道も、月と太陽の重力の影響を受ける。更に、地球が変形すると重力分布も変わり軌道が変わる。おまけに、太陽輻射の影響も受けており、驚いたことに地球からの照り返しも無視できない。この照り返しは雲の量による。よって、GPS衛星の正しい軌道を求めるには、「世界の気象状況」が必要とのこと。全くあきれるほど たいへんな作業だ。

最終更新日時: 2014年 05月 12日(Monday) 06:14